【vol.16】アートディレクター『落合剛之』第一線の大手企業で活躍してきたデザイナーが独立を選択した理由

vol.16
想いをデザインに。

電通、博報堂など大手広告代理店から仕事を受けるグラフィック制作会社、日本を代表するアートディレクターの個人事務所、幅広い企業や自治体のブランディングを支援する博報堂デザインなどデザイン業界を牽引する3社を経験し、今年の1月に独立・起業した落合剛之氏(株式会社TAMBO/アートディレクター)。デザインの可能性を更に追及し、本当に支援を必要としている人たちにデザインを通して、世の中に価値あるものを提供していきたいと考えている彼の過去と今そして描く未来像とは。

プロフィール

【氏名】
落合剛之(おちあい たけゆき)

【職業】
株式会社TAMBO
代表取締役 兼 アートディレクター

【経歴】
グラフィックデザイン会社、森本千絵主宰「goen°」、HAKUHODO DESIGNを経て、デザインを通して様々な課題を解決していきたいという想いから株式会社TAMBOを設立。広告グラフィックはもちろん、企業・商品のブランディング、自治体とのデザインワーク、書籍の装丁、商品開発、ミュージシャンのアートワーク、空間づくり、社員教育など幅広いデザイン業務に携わる。

新潟出身の落合さんが東京で働くことを決めた理由は?

学生時代は新潟で過ごしてきましたが、親しい友人と恵まれた環境の中で満足している自分に鞭を打つつもりで、自身の力を東京で試してみたいと思ったんです。

あとは、この業界にいるとやはり、テレビなどを通してみる企業の広告はかっこよく見えるんですよね。テレビの世界のデザインを手掛けてみたかったことも大きな要因ですね。

制作会社、個人事務所、博報堂デザインとデザイン業界を牽引する3社で働かれている時には、どのようなお仕事を?

制作会社時代は、主に電通のアートディレクターの方とお仕事をしていました。

百貨店のグラフィック展開や通信会社、テレビ局などのグラフィック制作等を中心に手掛けていました。

当時は自身が手掛けた作品が普段の生活の中で見かけたときは、とにかく嬉しかったのを覚えています。ただいま振り返ると、自身が手掛けたというよりもアートディレクターのアイディアを形にしただけでまだまだ自分の力不足の部分が大きかったと思います。

次に働いた個人事務所では日本を代表するアートディレクターの方に並走する形でお仕事をさせて頂いていました。

そこでは、これまでの広告のお仕事はもちろん、有名アーティストや歌手の方々のジャケットや本の装丁、街づくりのためのブックレット、商品パッケージなど幅広いデザインに携わらせていただきました。

私のデザインの定義が変わっていったのもこの時期からですね。一方で、自身で企画・コンセプトを考えるアートディレクターに早くならなくてはと焦りを感じ始めたのもこの時期です。

直近で働いていた博報堂デザインでは、サントリーやTOYOTA等の大手企業の商品はもちろん、自治体や地方の企業のブランド構築のために、ロゴ開発やデザイン展開など企業や商品が世の中においてどのような存在になるべきか、どのようにみられるべきかを考え、デザインを通してお手伝いしてきました。

この時期から自身で企画やコンセプトを考えたり、案を無数に出し続けたり、社内外のデザイナーのディレクションを行うなどアートディレクターとしての基盤を作れた時期だと感じています。

また、少しずつではありますが、自分に自信も持てるようになってきたのもこの頃ですね。

そんな誰もが羨む仕事を多く手掛けている中、今回独立した一番の理由は?

前職得た自信を個人として試してみたかったことと、これまで様々なアートディレクターと働いて感じてきたデザインの定義を自分なりに広く捉えなおしていきたいと考えたからです。

広告のグラフィックデザインからスタートした私ですが、今では企業の想いを詰めたロゴ開発や想いを社内外の人や物など至る所に浸透・定着させるブランディングを手掛けたり、生活者が手に取りたくなる商品・パッケージの開発、人の回遊を促す空間づくりなど、企業や社会とデザイナーとしてかかわる領域がどんどん拡大していっています。

この流れを広告代理店に発注できる企業や自治体だけに留まらず、地方に散らばっている素晴らしい企業や商品、特産品、土地ならではのサービスにもどんどん広げていくべきだという想いが強まってきました。

地方創生における人材の活用はUターン、Iターンだけではなく、東京にいるデザイナーだからこそ地方の良さや素晴らしさを伝えられると思っていますので、その想いを誰もが視覚的に理解できるデザインを通して世の中に発信していきたいと考えています。

実は最初の足掛かりとして早速、鹿児島県が主催する鹿児島デザインアワードに応募しており現在は一次審査を通過中(http://kagoshima-design.jp/2018/ichijitsuka/)なんです。

(2019年1月9日の発表で惜しくも賞は逃したようです)

また、TAMBOではもう一つ挑戦しようと考えています。

起業をする際にも支援してもらっている私のビジネスパートナー(鹿児島県出身)は、現在も外資系の経営コンサルティング企業に勤めており、デザイン×ビジネスという新しいカタチを模索しようと考えています。

デザインという形あるものだけではなく、デザインシンキング、ロジカルシンキング等を通して、売り方の見直しや、バリューチェーンの再構築、組織づくり、社員教育などあらゆる企業の課題に対して支援していきたいと考えています。

前述の2つの考え方(デザインシンキング、ロジカルシンキング)は、2項対立にするのではなく、必要な時に必要な考え方を提供していくべきだと考えています。企業や自治体の悩みはどちらか一方で必ず解決できるほど簡単なものではないですから、合わせ技を使うことで見えてくる世の中や社会が少しでもいい方向に向いていくのではないかと思っています。

将来はどのような存在、アートディレクターを目指しているのでしょうか?

企業や自治体の課題はもちろんのこと、社会課題などにもデザインやクリエイティブを通して解決策を提示できる人間になりたいなと考えています。

KAGOMOをご覧の皆様にメッセージをお願いします

現在は、東京の仕事を中心に行っているものの、今後は地方の企業や自治体のお仕事をどんどん増やしていきたいと考えています。まずは、お気軽にコンタクトを頂き、お話しさせて頂くところからスタートさせてください。

お問い合わせ先

株式会社TAMBO(東京都)
お問合せ:tambo@tambo-inc.com