一つのことを極めた人の涙は、なんとも勇ましく、美しく、自分事のように身近に感じる。
サッカー日本代表GKとして4度のワールドカップに出場し、多大なる活躍と影響を与えてくれたJ3・SC相模原の川口能活選手(43)が2018年12月2日J3最終節「鹿児島ユナイテッドFC」戦で引退した。
今回はもちろんJ2昇格を決めた地元チーム「鹿児島ユナイテッドFC」の応援に行くためもあったが、なにより川口能活選手の引退試合ということもあり、SC相模原の本拠地:相模原ギオンスタジアムへ。
川口選手を語るうえで欠かせない、2つの奇跡がある。
『マイアミの奇跡』と『重慶の奇跡』だ。
1996年7月22日アトランタオリンピックでロナウドやリバウド擁するブラジル戦で1-0で日本が勝利した試合は、川口選手の好セーブなしには語れない。
(当時小学生だった私でもブラジルには勝てないなーと思ってたくらい絶対的な強さだった)
後に『マイアミの奇跡』と呼ばれる。
そして、2004年アジアカップの準々決勝ヨルダン戦でのPKセーブだ。
絶体絶命のピンチから川口選手の好セーブで日本を勝利に導いた。
(1-3からの逆転劇は鳥肌ものでした)
後に『重慶の奇跡』と呼ばれる。
あのアトランタオリンピック時の炎柄の日本代表ユニフォームは川口選手が一番似合うのではないだろうか。
実際にサポーターの中には炎柄の日本代表ユニフォームを着た方が多かったし、引退試合Tシャツを着ている方もいた。
試合自体は拮抗した展開で、川口選手がセーブする度にスタジアムからは大きな拍手と声援がスタジアム全体に響き渡っていた。
それに後押しされるように川口選手が好セーブを連発しSC相模原が1-0で勝利。
試合終了のホイッスルが鳴った瞬間に天高々く両手をあげガッツポーズする川口選手を見て涙するサポータも。
引退セレモニーでのスピーチでは、川口選手の一言目が「鹿児島ユナイテッドFCのJ2昇格おめでどうございます。」だったのが人としての懐の深さが垣間見えた。
(川口選手の人気はきっとこういうところにもあると思った)
また特に印象的だったのが、
「サッカーという素晴らしいスポーツをできる身体を与えてくれた、お父さんとお母さん、ありがとう。」
「まだ現役としての”余力”は残っています。しかし、その余力は今後のサッカー界のために使っていきたい。」
引退スピーチの全文はこちらから▼
母親からの花束贈呈の際に、我慢していた涙が溢れ出てきた瞬間がディスプレイに映されると、思わず私も涙してしまった。
きっと会場にいた1万2612人も同じ気持ちだっただろう。
本当にお疲れ様でした。
これからのサッカー界を盛り上げていただきたいと願います。