“危ない橋を渡る”
目的を達成するために、危険な手段をあえて渡ることのたとえとして使われる。
“橋”といえば、京都の銘菓「八ッ橋」を販売する聖護院八ッ橋総本店の創業の年をめぐる裁判が始まった。
「八ッ橋」を製造・販売する井筒八ッ橋本舗が競合する聖護院八ッ橋総本店に対し、創業したとする1689年(元禄2年)時点で「八ッ橋」という商品が存在したことを示す文献はなく、創業が1689年(元禄2年)であることの表記の差し止めなどを求めた裁判だ。
日本を代表する京都の老舗銘菓企業の創業年の価値は計り知れない。
創業年の価値は、老舗店にすれば商品の”命”とも言える『ブランド戦略』に直結する。
ブランド戦略を簡単に説明すると「スタバでコーヒーを飲む」のは”オシャレ”というイメージが商品の付加価値になっている。
付加価値とは”サービスが良い”、”オシャレな空間”、”雰囲気が好き”などポジティブな気持ちや思い出や人それぞれのストーリーなど様々な要素の上に成り立つ。
この『”独自な”もしくは”優位な”イメージ』を消費者に定着させる戦略のことを『ブランド戦略』とここでは言わせてもらう。
イメージが定着すると、消費者が商品・サービスの体験価値を理解・想像しやすくなるのだ。
すると、
・競合との差別化/価格競争の緩和
・投資した広告コストの効果が高くなりやすい
結果、新規で購入やリピートしてくれたりなど売上にも直結するので、企業の調達力もアップし、優秀な人材確保や社内のモチベーションアップなど良い循環も生まれる。
簡単にメリットを説明したが、ブランド戦略は定着させる工程が非常に難しいし、長期かつ継続的な企業努力が必要となる。
今回の『創業年の価値』とは以下の3つになるのではないか。
・長年に渡って愛されてきた老舗の歴史
・商品に携わる社員などブランドに対する誇り
ちなみに、創業年とされる1689年(元禄2年)は、歴史上で松尾芭蕉が『奥の細道』にて旅を始めた年だ。
確かこの『奥の細道』の出発地を巡っても、東京の足立区と荒川区が長年論争していた。
話しが脱線したが、いずれにしろこの裁判は300年以上前の証拠による立証が必要になる。
不正競争防止法の誤認表示行為が裁判のキーとなるが、被告側と原告側のどちらかが敗訴となれば企業としての信頼度の低下など目に見えないものまで失ってしまうのだろうか。
今後の裁判の行方が注目される。
両企業とも危険な橋を渡っていない事と、渡らない事を切に願う。